きとら農園とは

和歌山県有田郡有田川町は、吉備町・金屋町・清水町が合併して生まれた自治体です。旧清水町エリアは、全国シェア約60%(2018年度)を占める山椒生産量日本一の産地です。

中でも、遠井(とい)地区はぶどう山椒発祥の地であり、標高約600m、朝夕の寒暖差の激しいこの地区は、山椒栽培に最も適しています。

有田川町の中でも最高品質の山椒を生産する事で知られており、「遠井の山椒は一味違う」と地元の山椒農家は口を揃えて言います。「きとら農園」は、この遠井の地に1.5ヘクタール(15,000㎥)と、有田川町内に約200件ある山椒農家の中でも最大規模の園地を有しています。

4月の花山椒収穫に始まり、5月から6月にかけての実山椒収穫、7月〜8月の乾燥山椒の収穫のほか、9月末から10月にかけては、ごく少数の農家しか扱っていない赤山椒を収穫。すべて手作業で行われます。

遠井は昔は養蚕が盛んな地域でした。きとら農園の園地内にも、樹齢70年を超える桑の大木をはじめ、たくさんの桑の木があります。9月〜10月には、桑の葉を収穫し、桑の葉茶を作っています。

滝から汲んだ天然水を使って、すべて手作業で洗浄。釜蒸しでは、滝の水と里山の間伐材の炎でじっくりと蒸しあげた後、乾燥後に焙煎します。

4月花山椒の収穫

花山椒はとても小さく繊細なものなので、収穫時は痛めることのないよう細心の注意をはらっています。樹から収穫できる期間はわずか2〜3日。とてもデリケートな食材のため収穫後の保存ができません。

通常、農家が収穫した花山椒は、店頭に並ぶ頃には数日経過していますが、当園では収穫したその日のうちに冷蔵発送致しますので、最高の品質でお届けすることができます。

当園の花山椒は、京都のミシュラン三ツ星の料亭や、東京の二ツ星のフレンチレストランでもご利用頂いています。

5月〜6月実山椒の収穫

ぶどう山椒は他品種に比べ粒が大きく、香りが豊かだと言われています。あまり知られていませんが、山椒はミカン科の樹木なので、実は柑橘のとてもフルーティーな香りがします。

収穫の際は、一房一房、丁寧に手作業で摘み取ります。収穫期間は種が黒くなるまでの2週間ほどです。

通常、収穫された実山椒は常温で輸送され、店頭に並ぶ頃には数日が経過しており色味が良くないものも多いです。花山椒と同様に、当園では収穫したその日のうちに冷蔵発送致しますので、最高の品質でお届けできます。

7月〜8月乾燥山椒の収穫

山椒農家にとって最も忙しい季節が、この夏の乾燥山椒(干山椒)の収穫です。炎天下での収穫作業は、とても重労働です。

摘み取られた山椒は、選別後乾燥機に入れ、実が弾けるまで乾燥させます。乾燥を終えたら、手作業で種を取り除き、一粒一粒丁寧に石臼で挽いて粉山椒にします。ミキサーで粉砕すれば早いのですが、高速で空気と撹拌されるため風味がとんでしまいます。そのため、時間をかけて低速の石臼で挽きます。

9月〜10月桑の葉茶づくり

当園では、畑で栽培された桑の葉ではなく、農薬・化学肥料の使われていない、きとらの山中に自生する天然の桑の木の葉だけを使用しています。

茶葉の洗浄、釜蒸しには滝から引いた天然水を使用しています。電気・ガスの火力を使わず、里山の間伐材を使った薪の炎でじっくり蒸しあげています。天然の素材の風味を損なわずに環境に優しく持続可能な製法で仕上げています。

9月末〜10月赤山椒の収穫

本来夏に収穫するものを、あえて樹上で赤く熟すまで置き、秋に収穫します。緑色の乾燥山椒と比べて、上品ですっきりした辛みと芳醇であることが特徴。完熟させることは、山椒の木に大きな負担がかかるため、収穫量もごく少量です。

ごあいさつ

当店のホームページをご覧頂きありがとうございます。きとら農園の園主 新田清信です。日本人なら誰でも知っている和の食材「山椒」ですが、今、山椒は「ジャパニーズペッパー」としてEU(特にフランス)など、海外で非常に高い評価を受けています。

一方で山椒農家は高齢化が進み、園主の平均年齢は80歳に達しており、このままでは近い将来産地が消滅してしまいます。

有田川町と山椒の関係は古く、800年前にはすでに栽培され年貢として高野山に収められていた記録が残っています。歴史ある日本一の産地を絶やすことなく守っていきたい。そのためにはより多くの方に産地や山椒の魅力について知って頂かなければと思いました。

きとら農園はこれからも、最高品質の山椒を最高の鮮度でお届けいたします。

新田清信